ミュージシャン力の向上

当教室に通われている方たちは、ウクレレあるいはエレキベースという楽器に興味を持って、より上手に演奏できるように練習を重ねておられます。それぞれの楽器のいろんな奏法、リズムパターン、音の出し方等をエクササイズや楽曲を通じて会得していくというのが楽器の上達に必要な練習でしょう。

例えばトランペットでハイノートを出せる、ギターで早弾きができる、エレキベースでスラップ奏法ができる。これらはそれぞれの楽器に特化した修練の結果得られるテクニックです。

そういった練習を通じても徐々に身に付いて行くものですが、ここでは「楽器演奏の上達」とは別に、楽器問わず音楽をやっていくうえで身に付けたい「ミュージシャン力」について考察します。

①読譜力・写譜力

楽譜の読み書きです。これができないと演奏できない楽器もあります。エレキベースやウクレレはできなくても楽しめる楽器です。そこがとっつきやすくていいところではあるのですが、やはり音楽家にとって楽譜は共通言語。読み書きできるに越したことはない、どころかそれによって得られる情報、表現力は自分の演奏にフィードバックされます。

複雑な楽譜を初見でスラスラ読めるようになるのは相当な修練を経ないと身に付かない能力です。そこまでできなくても、時間をかければ理解できるくらい読めるレベルを目指しましょう。

②音感

幼少の頃から音楽教育を受けてきた方なら絶対音感を身に付けている方もいます。そこまでではなくてもある程度の音感を身に付けていると何かと便利です。

曲、フレーズを覚えるのが簡単に(早く)なる。耳コピが早くなる。自分の楽器のフレーズを作る、アレンジ、作曲にも役立ちます。

逆に音感が悪いと、音を外していても気づかない、いわゆる「音痴」状態になってしまいます。歌を歌っていてもずっと音を外したまま、合奏しても皆と違うところを演奏していて気がつかないままという非常によくない事が起こってしまいます。

③リズム感

楽器の演奏になると、例えばベースだったら何弦何フレットを何指で押さえるだとか右手ピッキングの順序だとかに意識が行きがちですが、一番大事なのはリズムです。

自分の出している音が何拍目の何(オモテ、ウラ、あるいは16分の何個目、3連の何個目等)なのか把握して演奏できているか、細かくチェックするのは大事です。

「大体」「何となく」「感覚」で音を出しているけど演奏がハマらない、しっくりこないと思ってらっしゃる方は一度確認してみてください。まずは正確に、楽譜通りに演奏できるようになってから、その楽曲のノリ(前ノリ、後ノリ、走る感じ、重く引きずる感じ等)まで表現できれば楽曲がより良いものになっていきます。

以上のようなミュージシャン力は、それらが無くても(全く無いといろいろ支障が出ますが)とりあえず演奏はできるので、そのトレーニングはともすると後回しにしがちですが、楽器の修練と同時にぜひ取り組んでみてください。楽器を持たなくてもスマホアプリ等でゲーム感覚でトレーニングできるものもあります。

スポーツで言うと筋トレみたいなものです。100メートル走の選手が、ただただ100メートルを走ってるだけでは速くはなりません。適切な筋トレや食事、休養、フォームの見直し等、走る以外にするべき事はたくさんあります。

ミュージシャン力が向上すれば必ず演奏がより楽に、美しくなります。少しずつやれることから始めてみてください。

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